──はがないの大ファンだったそうですね。
澪 私はアニメの「はがない」が大好きで、星奈は私の中での美少女ランキングでは1、2位を争うキャラクターだったんです。それほどに好きなキャラクターを、自分が演じるチャンスなんて、なかなかないと思うので、星奈役のオーディションのお話を聞いたときには、運命かもしれないって思いました。この役を取らないと、一生後悔すると思いました。
──オーディションには、どんな気持ちで臨んだの?
澪 はがないや星奈のことが大好きだという気持ちを、とにかく伝えたいと思いました。好きだからこそ、星奈のかわいいところをいっぱい知ってる、ということをアピールしよう、って考えたんです。星奈と私が似てるか似てないかは自分ではわからないし、原案の星奈みたいにプロポーションはよくないので(笑)、それを埋めるために、好きな気持を気持ち悪いくらいに一生懸命伝えよう、って。
──いっぱい話したんですか?
澪 はい。(及川拓郎)監督と一対一の面接の形でしたが、オーディションというよりも、「私がどれだけ星奈好きかを伝える」会になってました(笑)。私と星奈の共通点も、たくさんあることに気がついたので、そのことも話しました。かわいい女の子が好きなところとか、ギャルゲーが好きなところとか、友達が少ないところもいっしょなので(笑)、「きっとこの役はできますよ」って、押すしかないな、って。
──澪ちゃんの話を聞いていた監督の反応は、どうだった?
澪 「どんなギャルゲーやるの?」とか、監督に聞かれました(笑)。監督も「はがない」が好きだということなので、わかりあえる部分もあった感じがして、楽しかったです。
──オーディションでは緊張するほう?
澪 しないように見られますけど、実は緊張してます。「緊張しないよね」とよく言われるので、自己暗示をかけるように私も「しないです」と答えてます。本当は、前室で待っているときは心臓がバクバクしていて、「落ち着かないと……」って思ってます。
──「僕は友達が少ない」のオーディションは緊張した?
澪 緊張してました。このときは正直に、「緊張してます」と言いました。やっぱり、自分の中では人生がかかっている感じだったので、気合が入っているぶんだけ、緊張もしました。でも、伝えたい話は、全部することができました。
──今回の映画のオーディションを受けることが決まって、準備していたことは何かある?
澪 星奈は胸が大きいのが特徴の役だったので、少しでも近づくために、「豆乳を飲むと胸が大きくなる」という話を聞いて、毎日、1リットル飲んでました。あと、原案の星奈はちょっとムチッとしたプロポーションが魅力だったりするので、あまり気にしないで、好きなものをたくさん食べたりしてました。効果があったか、どうかはわからないですけど、撮影期間も続けてました。
澪 私は星奈のことをよくわかっているつもりでしたが、映画で演じるためには、ラノベ(ライトノベル)やアニメの星奈のモノマネではいけないんだなという壁にぶちあたりました。今思うと、はがないが大好きということに縛られて、悩んでいた時期もありました。でも、撮影現場で監督から「星奈は、隣人部のみんなを照らす太陽のような存在だから、もっと意識して明るく、テンション高くする感じにしたら」と言われて、うまくできるようになってきました。
──でも、はがないが好きな自分だからこそできた演技もあったのでは?
澪 原案と映画はまた違った世界観になっているとは思いますが、「私が知っている星奈のかわいらしさを、ここで出せるな」と演じながら感じたシーンもたくさんあったので、私しかできない、星奈の魅力を出せたんじゃなかな、って思います。
──完成した映画を見た感想は?
澪 バーチャルの世界だからこその世界観が、映像の中にしっかり出ていて、星奈として私が作品の中でちゃんと生きていたので、監督の言葉を信じてやってきてよかったな、と思いました。
──いろんな作品に出演してきたと思うけど、演技についてはどう感じているの?
澪 小さいころはモーニング娘。さんが好きで、アイドル歌手になりたかったんです。でも、何がきっかけだったかは覚えていないんですけど、お芝居がしたいと思うようになって、実際にしてみたら、すごく楽しかった。気持ちがいいんですよね。難しくて、悩む部分もたくさんあるし、難しいんですけど、演技をしていると、「生きてるなあ」という感じがします。
──将来は、どういう女優になりたい?
澪 実力を評価されたいですね。努力は必要だと思いますが、「かわいい」と言われるよりも、「あの芝居すごくよかったよ」「あの目の動き、すごくよかったよ」とかって、芝居のことを評価されることのほうが、嬉しいですね。だから、可能な限り、お芝居はしていきたいなって思います。
──オーディションは、好き? それとも嫌い?
澪 オーディションですか(笑)? あんまり考えたことなかったけど……どっちかというと、好きですね。順番を待っている時間とか、心の奥の方まで見られる感じとか、オーディションをうけている間は「嫌だな……」と思ったりもしますけど、でも、(役を)取ったら実力で取ったことになるじゃないですか。オファーを頂くのももちろん嬉しいですけど、実力で勝ち取るのはやっぱり嬉しいので、好きです。
──澪ちゃんの思う、オーディションの突破法を教えて。
澪 もうお仕事をして5、6年になりますけど、いろんな試行錯誤をして、すごくニコニコしてみたりとか、個性派を装ってちょっと挙動不審になってみたりとか(笑)、いっぱいいろんなことをしてきましたけど、結局は素直でいるのが一番いいなあと思いました。「裸になれ!」ではないんですけど、嘘偽りなく、いいことも悪いことも、素直に出すのが一番いいなと思います。
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